以前、「不安は成長の素」で失敗に対する不安を適度に恐れて努力しましょうというお話をしました。
しかし、失敗しても「あ~やっちゃった~」で終わってしまえば、成長には繋がりません。
今回は、失敗を成功の素にするための「なぜなぜメソッド」を解説します。
「なぜなぜメソッド」とは
これは、日本が誇る世界のトヨタが、工場における問題解決のために使われていたメソッドで、それが高い評価を得て世界中で使われるようになったものです。
ちなみに、トヨタには「失敗」という言葉はないそうです。
失敗とは、「敗れて」「失う」と書きますね。
なので、トヨタでは改善の余地がある「問題」という言葉しか使わないそうです。
そのトヨタの工場で、問題を改善する方策として、この「なぜなぜメソッド」が活用されています。
正式には「5回のなぜ」メソッドといいます。
このメソッドは、
「なぜ」を5回繰り返すと問題の本質に辿り着く
というものです。
例えでよく引用される、ワシントン記念塔の話をします。
ワシントン記念塔の状態が悪化していて、保存するための問題点をこのメソッドを活用して探ります。
①なぜ記念塔の状態は悪化したのか?
記念塔の洗浄に化学物質を使用しているため。
②なぜ化学物質を使用しているのか?
鳩のフンで汚れており、通常の清掃では落ちないため。
③なぜ鳩のフン害が酷いのか?
塔内の蜘蛛にハトが多く引き寄せられているため。
④なぜ塔内に蜘蛛が多いのか?
ユスリ蚊が多いため。
⑤なぜユスリ蚊が多いのか?
塔をライトアップしている照明に引き寄せられているため。
お分かりでしょうか。
見事に5回の「なぜ」で原因が判明しました。
これが1回の「なぜ」で終わっていたとしたら、
「強い洗浄剤なんかやめてしまえ!」
という結論になっていたかもしれません。
最終的に、ライトアップの時間を、蚊が集まる日没時を外して点灯することによって解決したそうです。
「なぜなぜメソッド」を活用しよう
それでは、私たちの生活に活用してみましょう。
例えば、よく寝坊する社員がいたとします。
寝坊したことに対して、「コラ!社会人にもなって自覚が足らんぞ!」と叱るだけでは、また寝坊することでしょう。
大切なのは、原因を深堀りしていくことです。
①なぜよく寝坊するのか?
夜寝るのが遅いから。
②なぜ夜遅いのか?
ネットゲームにハマっていて、仲間が集まるのが遅い時間のため。
③なぜネットゲームにハマっているのか?
友人もおらず、他に自分を満たしてくれるものがないため。
④なぜ友人がいないのか?
リアルでのコミュニケーションが苦手だから。
解決法:私の「コミュニケーションのコツ♪」を読ませましょう(^^♪
今回は、4回の「なぜ」で解決策が導き出されました。
必ずしも「なぜ」が5回必要とは限りませんし、5回で済むとも限りません。
問題の本質にたどり着くまで、例え10回でも「なぜ」を繰り返すことが大切なのです。
「なぜなぜメソッド」の注意点
上司が部下のミスに対してこのメソッドを活用するのはとても有用です。
でも、注意しなければならないこともあります。
それは、このメソッドは「詰問」ではないということです。
上司がミスした部下に対して、
「なんで寝坊した?」
「はい、寝るのが遅かったので・・・。」
「なんで遅くまで起きてたんだ?」
と詰問するように問いただしてしまうと、部下は責められていると感じて答えなくなるか、適当に当たり障りのない回答をするようになります。
それでは意味がないばかりか、部下も心を閉ざしてしまいますね。
大切なのは「一緒に考える」ということです。
部下を叱ることも必要です。
でも、問題には必ず原因があります。
原因を探求せずして叱るだけでは、マイナスの効果しか生みません。
部下が問題の本質を把握し、本心から反省し、悔い改めることが目的ならば、上司も部下と共に悩み、苦しむ覚悟が必要です。
自分に対しても有用ですので、ぜひご活用ください。
紙に書いてみると視覚的に分かりやすいですよ。
考えがまとまらなければ、頭にある感情をとにかく書き出してみて、整理して「なぜ」を探求しましょう。
そんな生き様は如何ですか?
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