知られざる警察学校の世界~勉学編~

皆さんこんにちは♪

先日、仕事帰りに電車に乗っていたら警察学校教官時代の教え子から「さっき○○を歩いていませんでしたか?」とLINEが来ました。

「何だ、声をかけてよ~」と返したのですが、「反対側の歩道ですれ違ったため、人違いだったら恥ずかしくて・・・」とのことでした。

お茶でもしながら色々な話がしたかったな~(*´▽`*)しかし世間て狭いですね~。

ところで、皆さんは学生時代に勉強は出来た方ですか?

私は勉強が嫌いで嫌いで・・・(;´∀`)

「こんな勉強、社会に出て役に立たない!何で全員強制的にやらないとダメなんだ~。」ともっともらしい理由をつけて反発しておりました。

まぁ実際に社会に出てから、ほとんど使っていないわけですが・・・。

さて、先般警察学校の世界を「概要編」「生活編」とお話してきましたが、今回は勉学編です。

入校予定の人・・・もうええわ( `ー´)ノ

座学

警察学校では、当然ですが職務執行に必要な法学等を学ばねばなりません。

そもそも、公務員として日本のことから勉強が始まります。

「日本国憲法」ですね。

そもそも憲法とは、日本におけるあらゆる法律や条例等の・・・・・・あっ失礼しました、講義してしまうところでした(;・∀・)

って憲法は担当してなかったんですけど(-。-)y-゜゜゜

他にも、刑法、民法、軽犯罪法、刑事訴訟法、警察法・・・などなど、嫌になるほどの法学を学びます。

警察は何に基づいて職務執行しているのか知らずに職務質問などは出来ませんよね。

逮捕だってちゃんと刑事訴訟法に細かく要件とか書いてあって、何でも出来る訳ではないんですよ。

警察には人の権利を制限する強大な権限が付与されています。

それが警察官個々人の裁量で勝手に運用されると重大な事態になるので、しっかりと根拠と要件と限界を定めてあるわけです。

大学で法律学科を専攻した人にはぬるい内容ですかね。

でも法学だけではありません。

実務に直結する、捜査手続きであったり、鑑識であったり、薬物や銃器の知識であったり、交通であったり、風営法の関係であったり、警察が活動するジャンルが広いため、学ぶ科目も多岐にわたります。

実務以外でも、社会常識や公文書の書き方、職務倫理なども学びます。

座学は、その名の通り座って学ぶ教科ですが、基本的には教官がパワポ等を使用して進めます。

難しいことがとても分かりやすくまとめられているので、授業の中で理解して暗記すれば大丈夫です(^^)/

もちろん試験もあります。

大卒は卒業前に1回、高卒はそのタイミングと卒業前の2回です。

座学の試験は、シンプルです。

問題が配られて、罫線だけが引かれた答案用紙に記載します。記述式ですね。

例えば、

【問題】

 憲法の基本原理を記せ。

【解答】

 自分で組み立てて記載

みたいな感じです。そう、教わったことを暗記して書けば良いのです。

試験問題はその教科を担当する教官が作成するので、試験前には神の声(教官の独り言!?)があるかもしれませんね(*’▽’)

ちなみに、警察学校が職業訓練校であることは前回述べましたが、仕事としてお金をもらっている以上、授業中に寝ることは職務怠慢となります。

いわゆる税金ドロボーというやつです。

教官にもよりますが、最初は注意だけで済んでも、繰り返せば始末書処分になり、正式な処罰となり、退校(退職)処分となることも肝に銘じておかねばなりません。

ちなみに、試験で赤点(得点率40%未満)で追試となり、それでもダメなら退校処分となります。

まぁ仕事なんで頑張ってください(^^)/

術科

座学のほか、身体を動かす術科があります。

武道や体育など、全てこの術科になります。

武道は、柔道か剣道を選択します。基本的には本人の希望ですが、人数調整や本人の資質・資格等を踏まえて変更を勧められることもあります。

大体が初心者なので、基本的なことからしっかりと教えてくれます。

なので、段持ちには緩い内容でしょう。

そこで教官の出番です。

武道で採用された者は別にして、段持ちに血反吐を履かせるために腕に覚えのある教官が参加して、ボコボコにするのです(*´ω`*)

っていうのは冗談ですが、そうやって一緒に汗を流すことで一体感も生まれるので、私は積極的に参加するようにしていました。

順当にいけば、初任補修科卒業までには初段を取れるようになります。

後は逮捕術ですかね。

犯人を制圧して逮捕するための術科です。

簡単に説明すると、日本拳法のように防具をつけて、棒で叩く、素手で殴る、蹴る、投げる、関節技等を駆使して相手を制圧する格闘技です。

空手などのコンタクト系武道をやっていた人には有利な術科ですね。

最初は軍鶏の喧嘩のように殴り合っていますが、戦い方を覚えてくるとちゃんとそれらしい格闘技になってきます。

面白いのは、警察官VS犯人を想定しているので、素手同士だけでなく、犯人側が短刀(訓練用のもの)を持って、警察官側が警棒(訓練用のソフトなもの)や警杖(長い棒)で戦う種目もあることでしょうか。

短刀VS素手などもあり、なかなか他に見ない格闘技ですね。

これも乱取り(自由訓練)を行いますが、素行の悪いものは合法的にボコボコに・・・((+_+))

生活編」でお話ししましたが、機動隊の格好で走ったり盾の操法をやるのも術科です。

現場に出ると、早い段階で機動隊に行きます。

避けては通れない道です。

まぁ機動隊では訓練の後には「キンキンに冷えたビール」というご褒美が待っていますが(*´ω`*)

他には、救急法も学びます。

例えば警察官が交通事故現場に駆けつけて、命の危機に瀕した人を全く救護できないのは問題ですよね。

心肺蘇生や包帯法などを学んで、検定も行われます。

拳銃も持てます。

拳銃の扱いはとても厳しく、現場でも必要時以外は金庫で厳重に管理されています。

初任科のうちに拳銃は貸与されますが、実弾は渡されません。職務執行で使う訳ではないですからね。

ちなみに、勤務中に込める弾は執行実包といって弾頭が銅でカバーされたピカピカ(最初だけ)のものです。

いわゆるメタルジャケットというものですね。中身は鉛です。だから鉛中毒の問題があったのです。

今はちゃんとした防塵マスクをつけて訓練するので問題ありません。

実際に操法と言われる拳銃の取り扱い方や射撃技術を学んだあと、実弾射撃訓練も行います。

かなりの音と反動があるので、最初はみんなビビりますね。

標的を撃って、その点数で級(上・中・初)が決まります。

拳銃は日本では一般的に所持が禁止されているので、競技としてオリンピックに出るのは警察や自衛隊が多いですね。どちらかというと、拳銃は警察、ライフルは自衛隊が強いという感じです。

なので、ここで好成績を出せば、オリンピックへの道も見えてくるわけです。

でも、たまに怖くて手が震えて撃てなくなる人もいます。

そういう人は、級が取得できないので残念ですが・・・。

体育では、警察独自のジャパットなる体力検定もあります。

ジャパネットではありません・・・。

これは、犯人逮捕を想定した定められた動作を決められたとおり行い、その時間を計測するものなのですが、「走る」「飛ぶ」「腹筋」「背筋」「腕力」を総合的に使うので、めちゃハードです。

若い人なら1分前後で終わるものなのですが、ゴール後に倒れこむくらいのものです。

これは若い人だけでなく、定年退職間際の人まで全員が年に1回実施するよう決められています。

やんないですけどね(-。-)y-゜゜゜

これをトレーニングとしてリレー方式で競わせる鬼のような教官もいましたね。

くれぐれもお大事に・・・(^^)/

さて( ´ー`)y-~~

学科と実技の結果で順位が決まるわけですが、他にも順位に影響する項目があります。

それは操行点と言って、その人の素行が教官によって評価されるものです。

いわゆる内申点みたいなものですね。

それについてはまた別の機会に解説します。

「勉学編」如何だったでしょうか?

まぁみな同じ条件で学ぶので、高卒でも心配いらないです。

私は個人的に、成績よりも心持ち(心意気)が大切だと思っています。

なので、私の授業ではこのブログに書いてきたようなことに時間を割いて話していた気がします(*’▽’)

世間に色々な人がいるように、警察学校にも色々な教官がいます。

それもまた機会があればお話ししましょう(^^)/

ご意見、ご感想、ご質問お待ちしていますね。

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