マンション購入は注意が必要です

皆さんこんにちは♪

先日「賃貸VS持ち家論争」にてマンション購入について触れましたが、質問等をいただきました。

本題ではなかったため詳しく突っ込んだ説明をしませんでしたので、今回はマンションの購入に限って説明したいと思います。

かなり長くなるので、急ぐ方は目次から見たい項目に飛んでください。

ちなみに、私は15年以上分譲マンションに住んだ経験があり、中小規模であったために管理組合の理事長も副理事長も経験しました。

また、大規模修繕の委員にも属して、管理会社任せではなく自分たちで業者選定から契約に至るまで携わり、修繕積立金の改正にも関わってそれなりに勉強したので、素人としては知識がある方だと思います。

マンション管理の適正評価制度が始まる

来年2022年4月から、マンションの管理状況を評価する適正評価制度が始まります。

「マンションは管理を買え」と言われるとおり、その管理によって資産価値が極めて大きく変化します。

極端な例を挙げると、分譲時に5000万した物件が、所有する部屋の管理は良くてもマンション全体の管理が悪いとどんなに値下げしても買い手が付かなかったりします。

要するに、マンションは全体で資産と運命を共有しているということです。

だからこそ、中古で買う場合はその地域の相場価格やその部屋の状況だけでなく、マンション全体の管理状況はどうなっているかをしっかりと調べて知ったうえで適正価格かどうか検討すべきなのです。

来年から始まるこの制度は、マンション管理業協会が定めた評価項目に沿って自治体が管理状況をチェックするものです。

これまでは統一された基準などはなく、購入者や専門業者個々の判断により行ってきましたが、これがS~Dの明確な評価により専門知識がなくても分かりやすくなる訳です。

制定された背景としては、マンションの老朽化と居住者の高齢化があります。

マンションの老朽化によるリスク

マンションはほとんどが鉄筋コンクリート造であり、躯体の耐用年数は木造よりも長いです。

でも、デザインや設備の陳腐化、管理不良等による老朽化により、躯体の限界よりも前に建て替えることが多いです。

マンションは1970年頃から増え始め、古いものだと築50年を超えています。

築40年を超えるマンションは100万戸を超え、20年後には400万戸以上となります。

ただ、マンションの建て替えは容易ではありません。

同規模の物件への建て替えでは費用を捻出することは出来ず、規模を大きくするか、高さ規制等によりそれが困難な場合は各戸を小さくして戸数を増やし、新たな購入者から資金を得る計画が主となります。

よって、駅から近いとか、最寄り駅が魅力的であるとかの要件がなければ、新たな購入者が見込めないことは明白です。

ましてや、これから人口が減り続けるため、条件としては非常に悪いです。

また、建て替えには住人全員の同意が必要になり、大規模になればなるほど、高齢化や外国人など多様化すればするほど全員の同意を得ることは困難になります。

新たな購入者からの資金だけでは到底賄えず、居住者も相当額の負担を強いられることになりますが、一人一人の考えも違えば、経済状況も違うからです。

もしかしたら、転売に次ぐ転売で、所有者が判然としない物件もあるでしょう。

タワーマンションともなると、どういう事態になるか想像に容易いと思います。

居住者の高齢化によるリスク

マンション単体で居住者の若返りを図ることは難しく、築年数の古いマンションほど居住者も高齢になる傾向があります。

マンションは10~12年おきに大規模な修繕を行うのが一般的です。

その資金は、各居住者から毎月修繕積立金として徴収しますが、それだけでは足りないことが多いです。

なぜかというと、新築分譲時には長期修繕計画というものを策定し、それに沿って修繕積立金を算出するのですが、それらを売り手のデベロッパーが行うからです。

売り手としては、初期の費用を出来るだけ少なく見せて買いやすくしますから、10年単位で段階的に修繕積立金を上げていく方式で、さらには大規模修繕ごとに一時金を徴収する無茶な計画を採用するのが常套手段だからです。

新築時は安かった修繕積立金も、長年住んでいたらバカにならないほどの金額を徴収されることになり、高齢化した居住者に重くのしかかってきます。

支払いが困難になり転居しようと思っても、購入者は修繕積立金まで含めた毎月のコストを考えるので、管理費+修繕積立金だけで5万円以上する物件は、そうそう買い手が付きません。

また、居住者が亡くなったり買い手が付かなかったりして空き家が増えてくると、ただでさえ足りない修繕積立金がさらに減ります。

そうしてマンション廃墟化が起こるのです。

分譲マンションのメリット

分譲マンションは、戸建てや賃貸とは違うメリットがあります。

自分の生活スタイルなどを踏まえ、そのメリットを十分享受できると判断すれば買いです。

以下、マンションのメリットを挙げます。

防犯面で有利

一般的に分譲マンションはセキュリティがしっかりしている傾向にあります。

デベロッパーとしては、付加価値をつけて売りやすくするためです。

資産として購入する分、賃貸入居者よりも目が肥えている場合が多く、それに適った仕様になっていることが多いです。

また、お出かけする時も玄関の鍵ひとつでパッと出られるのもマンションの利点ですね。

低層階の場合はベランダからの侵入も十分に警戒する必要はありますが、一戸建てではそうはいきません。

快適性が高い

マンションは鉄筋コンクリートという構造上、防音、気密、断熱性に優れています。

これは一般的な一戸建てよりも有利で、分譲だと個壁境の壁厚がさらに増したり、宅配ボックスなどの設備が整っていたり賃貸マンションよりもさらに快適度は上がる傾向にあります。

賃貸マンションに入居する人は、そこまで性能にこだわる人が多くないので、オーナーとしては賃料に跳ね返る性能面に力を入れる可能性は低いからです。

ハッキリ言ってマンションは快適です。

上下左右を別の住戸の空間が占めているので、外気に接しているのはベランダと玄関くらいで断熱的にもとても有利です。

ただし屋上形状にもよりますが、最上階は夏に暑かったりします。

また、賃貸と違って所有するためリフォームや穴あけなどもある程度は自由です。

もちろん、玄関ドアやサッシ、躯体にかかる変更は管理組合の許可が必要だったりしますが・・・(;’∀’)

戸建てに比べてコストパフォーマンスが高い

同じ駅、同じ駅からの距離で比較すると、戸建てに比べて断然マンションの方がコスパが高いです。

それがマンションの大きなメリットの一つです。

中には駅直結の物件もありますね。

駅直結の戸建てなんて聞いたことないです(;´∀`)

駅から遠い物件は土地代も安くなるため、より大規模になって商店やスポーツジムや入浴施設を設置するパターンも見られます。

マンション内で何でも完結するということは、戸建てでは夢のような話ではあります。

マンションのデメリット

メリットばかりではなくデメリットもあります。

上下左右と壁一枚で繋がっている

上下左右の住戸と壁一枚で繋がっているため、音問題などが発生しやすいです。

こればかりは人によるので住んでみないと分からない所です。

またベランダでの喫煙問題や犬の鳴き声がマンション中に響き渡っているなど、集合住宅ならではのデメリットがあります。

管理の問題

上記で示した管理の問題があります。

一戸建てであれば全て自分でやる必要があり、賃貸であれば一切考える必要はありませんが、区分所有者一人一人で管理組合を形成し、管理を主体となって運営していかなければなりません。

同じように意識の高い人達が集まれば良いですが、なかなかそうはいかないのが難しいところです。

そういう意味で、中小規模のマンションの方が意思統一の面で上手くいく場合が多いです。

居住者の中には、マンション管理を生業としているプロもいて上手くいくパターンもありますし、管理会社等とつるんで甘い汁を吸おうとする輩もいるので注意が必要です。

その点においては賃貸が最も気楽であり、管理を一切考えなくて良い点は間違いなく賃貸の最大のメリットだと思います。

ただし、物件に対する愛着がない分、設備を乱暴に扱ったりというデメリットにも繋がりますが。

そういう意味で、分譲マンションなんだけど一部賃貸に出されている物件は注意が必要です。

中古マンションは買いか

上記を踏まえて、中古マンションは買いかどうかを考えます。

個人的には条件をしっかりと選定すればコスパの面で買いだと思います。

あくまでも私見ですので、参考程度に留めてください。

条件は次のとおりです。

管理状況をしっかりと把握する

初めにお話した「マンション管理適正評価制度」が来春から始まるので、それをしっかりと確認しましょう。

管理がしっかりしている所は、修繕積立金を見直して改正しているはずです。

できれば将来にわたって価格が変動しない定額制になっていると安心です。

それに合わせて、長期修繕計画もデベロッパーが自社グループで修繕での儲けも組み込んだ計画ではなく、期間や内容などを見直している管理組合なら安心できます。

ちなみに、私がいたマンションでは、診断を行って真に修繕が必要な個所だけを修繕する方法にするとともに、より耐用年数の高い素材を採用して単価は上がりますが大規模修繕の間隔を伸ばして長期的にはコストを下げる改正をしました。

大規模修繕って、足場が何よりも高くつくんですよ。複雑な形状であればあるほどに。

なので、間隔を伸ばすことによりそれだけで大幅に費用を削減できます。

さらに管理会社に丸投げするのではなく、業界新聞に掲載して入札制により大幅に費用を削減できました。

ハッキリ言って、管理会社に丸投げすると物件規模にもよりますが1回で数百万~数千万単位でぼったくられます。

「マンションは管理を買え」とは、そういう部分をしっかりと見ることです。

自分で判断できないなら、専門業者のホームインスペクションを活用するのも手です。

費用はかかりますが、高い買い物ですから安心を買うのも選択肢として検討すべきです。

立地条件を見る

価格だけで飛びつかないようにしましょう。

これからは、人口は減る一方=空き家が増える=買い手市場です。

一般的に、廃れた不便な路線・駅利用、駅から遠い物件は、資産価値の大幅な下落が懸念されます。

中古ですでに安いということは、もっと古くなった時にどうなるか・・・考えましょう。

費用をトータルで検討する

住宅ローンを組む場合、毎月のコストは単純に「ローン返済」+「管理費」+「修繕積立金」となります。

物件価格だけで計算すると大きな問題となります。

上記でも述べましたが、この「管理費」と「修繕積立金」がネックになる場合が多いのです。

スポーツジムなどを併設した大規模物件は、便利な反面管理が問題となることが多いです。

それらの運営は管理費から捻出することになり、満室状態であれば問題なくとも入居率が落ちてくると邪魔でしかなくなってきます。また修繕の問題も出てきます。

大きな水槽が設置してあったり、植栽がとても多いなど、水物は管理費に跳ね返ります。

財産を共有するとは、そういうことです。

特に「修繕積立金」は、よ~く確認しましょう。

終身雇用、年功序列が崩壊してきている今、さらには年金暮らしで数年ごとに値上がりする「修繕積立金」を払い続けられますか?

大規模修繕ごとに数百万単位の一時金を払えますか?

先までしっかりと考える必要があります。

維持できなくなって、売りたくても売れない・・・なんて悲劇です。

現地状況をよく確認する

投資目的でなければ、現地を見ずに購入する人もいないかと思います。

現地に行ったら、対象の部屋だけでなく、マンション全体をよく観察してください。

すでに空室だらけのマンションは絶対に避けるべきです。

個人情報の絡みもあって確認しにくい部分もあろうかと思いますが、不動産屋さんとは別に自分で現地に行ってじっくり観察すればある程度は分かるはずです。

ポストが投函されないように塞いであれば空室、夜に明かりがついている部屋が少なければ空室が多い、玄関に手押し車が置いてあれば高齢、ベビーカーやおもちゃがあれば若い世帯・・・等々。

変な住民はいないか、子供が遊んで騒がしいのか、外国人が多いのか、共用部は整理整頓・清掃されているか、エレベーターなど故障個所の修繕はちゃんとされているか・・・等々。

買うということは、そういうリスクと長期間付き合うということになります。

最後に

私の経験等を踏まえて長々と書き綴りましたが、参考になりましたでしょうか。

最初に言ったとおり、これから不動産は買い手市場なので遠慮することは何一つありません。

もしかしたら、20年後には予算内で希望の場所の中古戸建てが買えるようになっているかもしれません。

これからの地価の見通しとしては、都心部などの利便性の高い人気の場所の地価は上がり、地方でもそれなりに利便性の高い場所は下がらず、不便な場所は著しく下落・・・という見方が一般的です。

もしかしたら、少し都心からは離れるけど駅近の管理がしっかりした中小規模の中古マンションが一番お得で快適かもしれません。

まぁそういう物件はあまり値下がりもしないんですけど・・・。

さて( ´ー`)y-~~

これまでで最長の記事となってしまいました(;’∀’)

分割すると分かりにくいと思ったので、今回は勘弁してください。

不動産は資産でありローンは負の資産でもあります。

じっくりと見定めて、お得に後悔の無い快適な生活を送ってください。

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