皆さんごきげんよう♪
新生活で環境が変わって体調など崩してませんか?
身体が全ての資本ですから、休めるところはしっかりと休養して、どうかご自愛くださいね。
さて( ´ー`)y-~~
先日、たまたま人倒れに遭遇して救助しました。
幸い呼吸はあって、救急隊到着までに意識も回復しました。
皆さんは倒れている人がいたら、勇気を持って救護に当たれますか?
私は警察時代に赤十字救急法の指導員になり、以来15年ほど指導に当たっています。
とはいえ教える専門でして、自らが実際に救護したことは多くありません。
年に1回あるかないか・・・。
まぁ素人ですね(-。-)y-゜゜゜
今回は、実際に私が救護した経験談と、居合わせた人による救護措置がどれだけ大切かのお話をしたいと思います。
少しリアルな描写もありますので、苦手な方はご遠慮ください。
救護した状況
18時ころ、その日は早く仕事が終わって駅まで歩いていた時に、歩道上に人が集まっているのが見えました。
何かと思って見ると、その中心で人が倒れているのが分かりました。
意識があるなら、人もそれなりに居るしそのまま行こうと思ったのですが、どうやら意識がなさそうで傷病者は横になって動いていませんでした。
急いで近付いて確認したところ、傷病者が横向きに寝かされていて、周囲を6~7人が取り囲んでいましたが、みんな立ったままで特に救護しているようには見えませんでした。
これはよくあるパターンで、人はいるけどお見合い状態で結局誰も何もしないことがあるんです。
自信もないし、間違ったことをして悪化したらと思うと怖いですからね。
私は「意識はありますか?」と声をかけながら輪の中に入り、傷病者の状態を確認しました。
40代位の男性で、目は半開き、うめき声らしきものはあげていましたが、呼びかけには一切反応はありませんでした。
「意識ナシ」とあえて声を出して周囲に知らしめるとともに、「どなたか119通報はしましたか?」と聞いたところ、頭側に立っていた20代のスーツ姿の男性が「しました!」とのこと。
「ありがとうございます。」とお礼を述べたのち、「呼吸を確認します」と告知して仰向けに体位変換しました。
そしたら、何を思ったか通報したのと別の20代の同じくスーツ姿の男性が、いきなり心臓マッサージを始めてビックリ( ゚Д゚)
「ちょっと待ってください。呼吸がありそうなので」と言って止めましたが、「呼吸してないです!」と言って聞いてくれません(;^_^A
「ちょっと確認するので、いったん中断してください」と説き伏せ、腹の動きを確認したところ、しっかりと動いて呼吸をしていました。
「呼吸はしてますね」と告げたところ、その男性も腹の動きを確認したのか、きっぱりとやめてくれました。
そのやりとりを見ていた他の男性が、「医者の方ですか?」と聞いてきました。
「いえ、でも救急法の指導員をしています」と回答したら、みなさんどこか安堵した様子で、以後は素直に私の言うことを聞いてくれるようになりました。
すると心マしていた男性が「横向きにしますか?」と聞いてくれました。
おっ救急法を知ってるなと思いながら「そうですね。横向きにしましょう」ということで、再び横向きに。
意識がなく呼吸がある場合は、嘔吐しても気管が閉塞しないように回復体位と言って横向きにするんです。
その時に、強直性けいれんを確認しました。全身が突っ張る感じのけいれんですね。
傷病者の脈を取りながら観察したところ、鼻の周辺から若干の出血と、口から若干泡を吹いている感じでした。倒れた時に頭を強く打ったとかはなさそうな感じでした。
目が半開きで完全に飛んでいたので、「脳卒中か、てんかんか、薬物か、酒」を疑いながら、周囲に「どなたか連れの方か、倒れたのを見た人はいますか?」と問いかけました。
連れの方はいませんでしたが、50歳くらいの女性が「倒れるところは見ませんでしたが、1人でフラフラと歩いているのは見ました。気が付いたら倒れていました」と教えてくれました。時間も今から5分くらい前とのこと。
連れがいれば、既往症や飲酒その他の要因を聞けます。
傷病者は、私が来た時よりも徐々に落ち着いてきたように見えました。
心マした男性が「AEDはどうしますか?」と聞いてくれました。
私自身も聞かれる前から迷っていて、背後にある商業施設の警備員らしき人が付近にいたので頼もうかとも思っていたのですが、残念なことに私と目が合うと後ろに下がって人ごみに隠れてしまったのでした。
傷病者も落ち着いてきているので、「とりあえずは大丈夫です」と回答。
これは後から振り返ると失敗でした。結果的に必要はありませんでしたが、いざとなってから取りに行ったのでは時間がかかるので、持ってきておくべきでした。
そうこうしている内に遠くからサイレンの音が聞こえてきたので、心マした男性に「救急車か消防車が来たら、ここまで誘導してもらえますか?」と依頼。
やはりこういう時は、積極的に何かしようとしてくれている人が頼りになります。
1分くらいして、付近にいたらしい警察官が2人来てくれました。
するとどうでしょう!いきなり何かを察知したかのように傷病者が意識を取り戻しました。
すかさず「持病はありますか?お酒飲んでますか?」と問いかけましたが、相変わらず目が飛んでいて意識が朦朧としていて応答なし。
おもむろに起き上がって、そのまま立ち上がろうとする傷病者を、警察官と共に「もうすぐ救急車がくるので、横になってましょう」となだめながら制止します。
救急車というワードを聞いた傷病者は、「救急車?いらない。いらない。」といきなり暴れ出します。
ふらついて足元はおぼつかず、目はまだ飛んだままで、なぜか自分で指を口に突っ込んで吐き出しました。
おいおい。こりゃ、てんかんじゃないな~。酒の臭いもしないし、クスリか~?と思いつつ、暴れの対応は警察官にお任せ(^^)/
もう一人の警察官に、これまで知り得た情報と行った措置を全て伝えました。
そうこうしている内に消防車と救急車が到着。
ちなみに、こういう意識がない場合とかには、PA連携と言って消防車も来ます。
体重100Kg超えの傷病者だった場合など、救急隊の3人では手に負えませんからね。
傷病者を同じく救護していた若いスーツ男性2人と女性1人は、傷病者を対応中の警察官が持っていた信号灯などを持っています。
??と思って、警察の方?と聞くと、勤務を終えた警察官とのことでした。
道理で救急法を多少知ってる訳です。頼もしいですね。
救急隊にも傷病者の情報を伝えて、警察官に断ってから立ち去りました。
振り返ると、自分でも驚くほど冷静に対処対応できたと思います。
反省点は、やはりAEDですかね。
大きな施設であれば、受付や玄関、防災センターなどに必ずAEDは置いてあるはずなんです。なので、警備員に持ってきてもらおうかと目で呼んだのですが、逃げられちゃいました(;’∀’)
自分の株を上げて、会社の株も上げられるチャンスだったのに・・・。
ちなみに、死戦期呼吸ってご存知でしょうか?
心肺停止状態の人が、あえぐように呼吸しているかのような動きをするものです。
私も初見で、死戦期呼吸を疑いました。
でもちゃんと冷静に呼吸を確認できたので良かったのではないかと。
また、症状などから原因を探りつつ対処できたのも良かったと思います。
原因によっては禁忌的な対応もあり、原因を想定しながら手当てすることは大切なんです。
もちろん、医師ではないので「診断」することは許されていませんが。
自分的には80点だったと思います。
細かい部分でいえば、まだまだ改善の余地はあります。研鑽したいと思います。
居合わせた人による救護がめちゃくちゃ大切という話
原因によりますが、人は心肺停止に陥ってからしばらくは蘇生する可能性があります。
早ければ早いほど、蘇生の確率は上がり、蘇生してからの社会復帰率が高くなります。
そのポイントとなるのは、脳なんです。
心肺停止になると、全身に血液が循環しなくなります。
血液が循環しなくなると、ただちに脳が酸欠によりダメージを受けます。
脳細胞は、回復しません。
なので、心肺停止後いかに早い段階で心マ(今は胸骨圧迫という)をして人工的に血流を作り出し、脳に酸素を送るかが大事なんです。
最悪、人工呼吸をしなくても、血中に残った酸素だけでも良いのでまず送ることが最優先です。
何もしないと、心肺停止から10分で救命率は絶望的になると言われています。
東京消防庁HPの図を引用します。
救急車が要請から到着するまで、平均して8分程度かかっています。
心肺停止から通報までの時間も考えると、救急隊が到着するまで心マされなかった場合は、社会復帰する可能性は絶望的になるのです。
だから、その場に居合わせた人の救護が極めて大切なのです。
とはいえ、やり方を知らなければ躊躇しますよね?
だから、消防も日赤も救急法を広めて1人でも多くの人が居合わせて救護できるよう努力しています。
倒れているのが汚らしいおっさんでも、その人には家族がいてその人の帰りを待っているかもしれません。
もし、皆さんの愛する人が、どこかで倒れて救護されずにお亡くなりになったら、悲しいですよね。
「なぜ何もしてくれなかったのか」と思いますよね?
間違っててもいいから、それで数%でも生存率が上がるなら「何かしてほしい」と願うはずです。
だからこそ、居合わせた人が救護しなければならないのです。
完璧である必要はありません。
救急隊でも医師でも完璧などありません。
勇気を持って手を出すことが大事なのです。
簡単に一次救命措置の手順を載せておきます。これで皆さんも臆せず前に出られるはずです!
手順を1枚にまとめた自作資料もありますので、欲しい方にはお配りします。遠慮なく言ってください。
①意識の確認(顔を確認しながら呼びかける)
②意識がなければ119通報とAEDを依頼
意識があれば話して状況を確認(会話ができなければ意識ナシと判断)
③呼吸の確認(仰向けにして腹の動きを確認)
④呼吸があれば横向きに体位変換(観察は継続)
呼吸がなければ心肺蘇生
心マ30回と人工呼吸2回(躊躇するなら省略可)
⑤AEDが来たら、電源を入れてアナウンスに従う(心マは原則中断しない)
ざっくり言うとこれだけです。
繰り返しますが、完璧である必要はありません。
多少間違っても罪には問われません。
やることが大切なんです。
やれなくても、やろうとする気持ちが大切です。
逃げた警備員を責めるつもりもありません。
本人自身が歯がゆい気持ちだったに違いありません。
「次こそは!」と奮起してくれれば良いです。
ぜひ皆さんも、そういう場面に出くわしたら、力になってあげてください。
意識はなくても、心臓が止まっていても、助けを求めています。
よろしくお願いいたします。
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